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委員長あいさつ

Greetings from the chairman
組合員のみなさまへ 2020年10月
朝夕はめっきり涼しくなり、日中もしのぎやすい気候となりました。

7月から8月にかけて猛威をふるっていた新型コロナウイルス感染症も落ち着きつつあるようです。しかし、新型コロナウイルスまん延による社会経済への影響はこれまでも予想されたとおり、非常に深刻な事態となっており、9月1日に公表された完全失業者数は前年同月に比べて41万人増加の197万人、失業率は2.9%(対前月比 0.1%増加)となっています。

連合本部によると連合への労働相談は例年1万5千件程度ですが、今年は7月までで1万2千件弱と例年の1.4倍程度に増えており、内容も3月からは「解雇・退職強要・雇止め」が多くなっているおり、「パワハラ」と分類されたものでも退職強要に起因するものが多いとされています。

また、連合の仲間の職場においても倒産や工場閉鎖などによる整理解雇や労働条件の引き下げなどが提案され、労働組合が少しでも良い条件とするべく交渉を行っており、整理解雇となった組合員に対する再就職斡旋などに取り組んでいる労働組合もあります。このように困難な時こそ、労働組合の役割発揮だと思いますし、連合という国内最大のナショナルセンターの役割を発揮すべき時だと思っております。

幸いにして私たちの職場においては、雇用や労働条件に直接影響を及ぼす事態には発展していません。郵政グループにとっては郵便物流職場の労働力不足が最大課題ですが、JP労組として雇用を奪われた仲間のために再就職斡旋の取り組みなどを展開することとします。

さて、安倍総理の辞任を受け、安倍政権を継承するとした菅政権が9月17日に発足しました。菅総理は、総裁選で自らの基本理念として「自助、共助、公助」を語りました。私は政治の役割は「公助」を最大限追求すべきものであると考えますから、最初に「自助」を語るところに何やら胡散臭さを感じます。さらに言えば、総理就任二日後にはパソナグループ会長の竹中平蔵氏と面会されていますが、菅内閣では、自己責任と自助努力に基づく競争社会をめざす竹中氏の影響受けた政策が実行されるのではないかというのは穿った見方でしょうか。

また、大阪では11月1日に大阪市を廃止し、4つの特別区に分割する「都構想」の住民投票が行われることになりました。「都構想」の推進派である日本維新の会所属の松井市長や吉村知事は二重行政の無駄をなくせば大阪は発展すると主張しますが、そうであれば、横浜市や神戸市、京都市など他の政令指定都市も同じような選択をすると考えますが、そうしないのは都道府県と政令指定都市の役割がおのずと違うからです。松井市長や吉村知事ら日本維新の会が「都構想」を主張するのは、かつて小泉氏や竹中氏が主張した「官から民へ、できることは民間に」という新自由主義の考え方に基づくものです。そして、敵を作ってそれを叩くことで支持を集めるというやり方は、郵政民営化で使われた手法そのものです。

私たちは、リーマンショック、東日本大震災、そして新型コロナウイルス感染症拡大という危機に直面し、行き過ぎた行政改革は国民の安全や人命を脅かすということを経験しました。事実、保健所の統廃合によりPCR検査が増やせず、公立病院の統廃合でベッド数がひっ迫するということが起こりました。また、民営化された私たちの会社も当時描いた計画とは大きくかけ離れた社会状況となったがために現在、厳しい経営状況や要員状況にあります。このままでは郵便局ネットワークの維持すら根本的に見直さなければならない状況です。

もちろん、郵政民営化の結果、ユニバーサルサービスが守れなくなったとて、当時の民営化推進者が責任を取るわけではありません。「大阪都構想」も同様です。かつて「郵政民営化すればバラ色の社会になる。」と煽った人々は、民営化がうまくいかなかったのは経営陣とそこに働く者の責任だとばかりに責任を転嫁するだけです。「都構想」もうまくいかなければ、何かと責任をなすり付けるだけで松井市長や吉村知事はなんら責任をとらないでしょう。郵政民営化とその失敗も経験している私たちが騙されてはいけません。新自由主義的な発想の「都構想」にはNO!を突き付け、住民自治をしっかり取り戻しましょう。

コロナ禍で雇用の危機に直面している今こそ、私たち一人一人が力を合わせる時です。労働組合員が力を合わせることは「共助」です。そして、「公助」である社会のセーフティネットの拡充をめざす立憲民主党を中心とする政党を支持し、より良い社会と職場を作るための運動をともに作ろうではありませんか。

2020年10月
日本郵政グループ労働組合
近畿地方本部
執行委員長 岡田 陽平

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