毎年恒例の年賀葉書の販売もスタートしましたが、昨年に引き続き今年も年賀葉書の販売は昨年の引受と配達総数を元にした実需予測に基づいた販売と配分を基本に取り組みを進めることになります。特に今年は、時間外営業と立替払いとなる営業の根絶を第一義としており、その趣旨からも区外営業については行わない等、不適正営業根絶にむけた強い決意が示されています。
現在、地方本部は秋期のオルグを行っており、各支部役員との意見交換では「表向きは不適正営業根絶や実需を無視した目標設定は行わないとしながらもいざ本番となると販売枚数等の係数を追いかけるのではないか。」と従来の体質を踏襲したマネージャー等の販売指導の強化について懸念の声をいただきますが、相次ぐ不祥事案を受けて会社側も本気で不適正営業を是正させるための施策を展開するとしています。私自身も現場経験から懇意にしていただいたお客様への販売をお断りすることは心苦しい限りであり、なかなか容易ではないことは理解できますが、市場性に見合った指標設定や配分は労働組合が求めてきたものであり、不適正営業を行わないということからも私たち自身の意識変革も求められていると考えます。組合員のみなさんのご理解とご協力をお願い申し上げるところです。
さて、菅政権発足以降、初めての本格的な国会が開会されました。学術会議をめぐる問題等、国会審議で明らかにしなければならない問題は多々ありますが、今回の国会では政府から郵便法改正法案提出が閣議決定されました。これは、恒常的な労働力不足への対応と増加傾向にある小荷物への対応のために現在郵便法で3日間とされている引き受けから配達までの日数を4日間とすることと、週6日配達とされている普通通常郵便物の土曜日配達を休止することにより、週5日配達とすることが大きな改正点です。JP労組はこれまでも「土曜日休配を行った場合に郵便物の減少がこれまで以上に進む可能性があり、慎重な検討が必要。」と訴えてきました。改めて小荷物の増加が会社側の予測通りに進むかどうかについて慎重な見通しが必要と考えています。また、法律でユニバーサルサービスが義務付けられている郵便事業のコスト負担についても国会審議における議論を期待しております。
最後に大阪市を配置して4つの特別区を設置する、いわゆる「大阪都構想」の住民投票が11月1日に行われました。JP労組は連合の仲間たちと「政令指定都市である大阪市を廃止すれば市民生活に大きな影響が出る。」として反対の立場で運動を展開しました。結果は、約1万7千票差の僅差で再び否決に追い込むことができました。大阪連協をはじめ、近畿全体の運動でつかんだ勝利であったと思っております。改めてみなさんのご支援とご協力に感謝を申し上げます。
運動期間中、近畿地本の機関紙に掲載した都構想特集記事に関して「(大阪市の問題で)紙面4面も使って説明するものではない。近畿全体に関係のある話題を掲載すべき。」とのご意見もいただきました。都構想を推進する維新の会の主張は、「知事と市長が違う意見なので大阪は発展しない。知事一人にすることで『決められる政治』になる。」と異論を排除すれば物事がスムーズに動き大阪はもっと発展するというものでした。しかし、違う意見を排除するということは独裁に陥りやすく、チェック機能が働かない恐れがあります。民主主義とは時間をかけて最大公約数の意見をまとめるもので少数意見に対しても一定の配慮があってしかるべきです。この間、国の政治も大阪の政治も選挙に勝てば民意であり、何をやっても許されるという傲慢なものでしたが、今一度、民主主義とは何かを問い直すことが重要であると考えています。今回の問題は、こと大阪市だけの問題ではなく、日本の民主主義の行く末を占う闘いでもありました。
大阪市民を分断する選挙戦となりましたが、英国のEU離脱のように一時の感情で進路を誤らずに済んでよかったと思っています。今後はこの選択が良かったと言われるように近畿全体で勤労者や生活者本位の政治を実現していくために組合員のみなさんの更なるご理解とご協力をお願い申し上げます。
これからは日没も早くなり、寒さも厳しくなります。みなさん、事故のないように十分気をつけて仕事を進めましょう。
2020年11月
日本郵政グループ労働組合
近畿地方本部
執行委員長 岡田 陽平