さて、8月10日に郵政グループの第1四半期決算が公表されましたが、三事業・グループ連結ともに「減収・減益」でした。民分化以降は、「減収・増益」の傾向で、云わば、企業内努力・効率化によって利益を生み出してきたもので、ユニバーサル・サービス提供義務が課される中、経営努力や組合員・社員への負担がいよいよ限界の域に達しつつあると考えます。
日本郵便のセグメント別では、郵便物流事業の取扱数量が全ての種別で減少していますし、郵便局窓口事業においては、窓口来客数の減少により金融2社からの委託手数料とネットワーク維持交付金を合わせ、前年同期比で203億円の減収となっています。また、利益剰余金いわゆる内部留保は、前年同期比で30億円減少しています。
ゆうちょ銀行は、前年同期比で3,680億円、かんぽ生命は、2,660億円減少しています。ゆうちょ銀行の自己資本比率は15%を超えているとはいえ、銀行業には、バーゼルⅢといった規制もあり、一定のリスク回避資本の保有が義務付けられています。
こういった現状認識をふまえ、経営側には、私たちがこれまで議論・豊富化している経過にある「事業ビジョン案」を基に、聖域なき事業改革を大胆に示させた上で労使で乗り越えていくことが持続性のある事業、さらには、私たちの処遇維持に繋がるものと考えます。
参院選後の臨時国会で郵政事業の政策に深く関係する総務委員会に「小沢まさひと議員」が、財務金融委員会に「しば慎一議員」が所属することになりました。秋の臨時国会でも継続することになると思います。まずは、私たちが必要性を訴えてきたように、実質28年間据え置かれてきた第一種郵便料金の値上げをはじめ、第一種から第四種に分類される種別の在り方も含めた郵便料金改善が加速するよう、小沢・しば両参議院議員には、当面、国政の場で尽力いただきたいと思います。併せて、私共も、郵政事業を所管する関係大臣等に対して、昨今の急激な物価上昇に見合う郵便料金や各種手数料の見直しを求める組織運動によって労働条件の維持向上・雇用の確保に繋げて行かなければならないと考えています。
JP労組近畿の各支部は、9月上旬までに支部大会を終了し、新たな運動年度に入り、大きな課題の一つである2023春闘に向けた議論を展開することになります。
10月から地域別最低賃金が改定され、時間額の平均引き上げ額は、過去最大となる31円(月額換算では約5,500円:31円×8時間×22日)となります。
一方で、世界的な原材料の高騰が続く中、ウクライナ危機によって物価高に拍車がかかり、総務省が8月に発表した消費者物価指数は、前年同期比で2.4%上昇し、4ヵ月連続で2%以上上昇している実態にあります。9月に入っても「モノ」の値段が上がっていますが、10月には、2.9%上昇とピークを迎える予想がされています。
最低賃金が過去最大の引き上げとなっても、昨今の物価上昇には、とても追いついていない実態にあります。今後、会社の経営状況も含め、来年の春闘に向けた討論素材が示されることになりますので、都度、ご一読いただきご意見をいただきたいと思います。
加えて、6月に開催された第15回定期全国大会では、「JP労組未来創造プラン」の策定に向けた取り組みが確認されました。これは、日常的な組合員の皆さんと組織との関係性が薄れつつあるとの認識から、運動と事業の再生をはかっていこうというものです。
具体的な取り組みとして、「支部・職場の活性化」「人事給与制度(案)の具体化」「事業政策の深堀り」など、5つのプロジェクトチームを組成し、そこには、本部・地本・支部役員の混成チームで検討・議論していくとしています。
これまで、中央本部から提起された「JP労組が考える事業ビジョン(案)」に加え、この「未来創造プラン」についても、今後、中央委員会及び全国大会議案で提起されることになりますので、組合員の皆さんの積極的な意見を期待したいと思います。
暫くは残暑が続きそうですし、台風シーズンとなります。感染防止対策や風水害への備えを怠らないように努めてまいりましょう。
2022 年 9 月
日本郵政グループ労働組合
近 畿 地 方 本 部
執行委員長 尾﨑 正一