委員長あいさつ

Greetings from the chairman
組合員のみなさまへ 2022年12月
師走に入って、一気に厳しい寒さが到来しました。
コロナ感染も先月初旬までは落ち着きを見せていましたが、既に第8波に入ったとの報道もありますし、新たな変異株も確認されています。
年末年始に向けては、私たち郵政事業にとって最繁忙期を迎えることになりますから、インフルエンザの同時流行にも警戒する必要があります。
引き続き、基本的な対策(マスク装着・手指消毒等)を怠らないようにしましょう。

11月11日に日本郵政グループの中間決算が公表されましたが、第1四半期同様、グループ連結で減収減益でした。通期予想に対する経常利益進捗率を見ても42%と厳しい状況で、とりわけ、かんぽ生命が21.6%と営業再開したとはいえ逆境に立たされている現状にあります。純利益の進捗率は68%となっていますが、そもそも通期予想が前期の半分以下に設定されていたもので、コロナ感染症に係る保険金支払いが増加したことや保有契約の減少が影響し、中間純利益は320億円を超える減少となっています。
ゆうちょ銀行は、資産運用の約2割を占める国債が継続する低金利の影響を受けて減少し、運用資産全体で前期比6兆8000億円を超えるマイナスとなっています。
唯一、対前期増益となったのが日本郵便です。セグメントを見れば郵便局窓口事業の人件費が540億円を超える削減となっていますが、コンサル社員のかんぽ生命出向によるものであり、これがなければ減収減益であったと考えます。

こういった固定費を移管するといった対応は、事業別・セグメント別の期末決算において、2期連続で赤字になった際、「減損の兆候あり」と判断され、その後は事業の経営状況を精査し改善の見込みがなければ資産の価値を切り下げる会計処理(減損会計:財務諸表の資産を簿価から時価に改める)がなされることになります。
そして、損益計算書には特別損失として計上され、その分、当期純利益が減少し、当然、春闘にも影響を及ぼしますし、資産が縮小することで今後の投資にも影響を及ぼすなど事業の持続性も益々厳しくなっていくことになります。これを回避する手立てであると考えます。

社会に目を移すと皆さんが体感しているとおり、今年に入っての物価高に加え、ウクライナ情勢により資源高に拍車がかかっていますし、特に生活に不可欠な電気料金、ガソリン、そして食料品全体も2段階・3段階で値上がりを続けている状況にあります。また、ウクライナ情勢が収束したとしても、円安によりモノの値段が上がり続けるとの見方もされています。

一方で、私たちの賃金は上がらず物価上昇分に追い付いていない現状です。
先に触れた決算状況などから会社の経営が厳しいと理解をしながらも、私たちは労働組合ですから、組合員の生活を守るため・安心して生活設計を立てられるようにするため、そして一方で、事業の持続性も考慮しながら23春闘に臨んでいくことになります。
今春闘に臨む本部のスタンスや考え方については、既に2回目の職場討議資料として10月26日付けで情報発信されています。
もし、そんな資料や話は、見たことも聞いたこともないといわれる組合員の皆さんは、所属する支部(分会)役員に確認していただきたいと思いますし、JP労組中央本部のホームページ(https://www.jprouso.or.jp/)組合員専用サイトでご覧になれます。
組合員の皆さんご自身やご家族にもかかわってくる課題でもありますので、必ずお読みいただき、2023春闘に向けたご意見は、支部を通じて届けていただければと思います。

以下、ポイントになるところを記述します。

基本的な方向性は、「組合員の生活を守り、格差の是正に取り組む」ということで、一つに、賃金の引上げ、二つに、一般職の賃金改善、三つに、夏期冬期休暇の見直し、四つに、一時金水準の維持・向上です。

賃金の引き上げについては、先ほど記述したとおり、物価上昇の局面にあっても社会保障費は毎年のように上がっていきます。
これで、賃金が上がらなければ、可処分所得と言われている、手元に残るお金が減っていくということになりますから、全世代、すべての組合員の賃金を引き上げる必要があります。

次に、一般職の賃金改善についてです。目指すのは、全体の賃金改善ですが、物価高は、賃金水準が低いほど影響をうけることになりますので、23春闘交渉で確保した賃金財源については、一般職や若年層の地域基幹職の賃金改善を優先するとしています。

夏期・冬期休暇の見直しについて、22春闘においては、さらに議論が必要ということで継続扱いとしてきましたが、2020年10月15日に最高裁で下された判決は重く、既に2年が経過しており、これ以上先送りはできません。
18春闘でアソシエイト社員に夏冬計2日付与することで一定の改善がありましたが、完全に不合理を回避するには至っていません。
このまま何もしなければ、訴訟のリスクは残置され、会社のイメージダウンにも繋がっていくことになり、募集しても人がきてくれない会社になる恐れがあります。
こういったところを組合員の皆さんに提起し、最高裁判決に絡めつつ、労使交渉によって何とか打開していきたいというスタンスからきているものです。
今回、本部が(案)として示しているのは、判決内容の不合理を解消すると同時に、現下の経営状況から現実対応として休暇日数の見直しにより生み出された原資をもって基本賃金の改善・引き上げに充当することはできないか、という考えです。

次に、一時金水準の維持・向上についてですが、厳しい経営環境にありながらも、事業を支えているのは、まさしく現場であり組合員の皆さんですから、組合員の生活を守る観点から求めるものです。そして、要求については、グループ4社一律としながらも、会社が異なる回答を示してきた場合には、なにより、所属する組合員の生活を守るため、会社別となることも想定する必要があるとしています。

以上が23春闘のポイントとなりますが、社会環境が大きく変化する中で、私たちの事業が大きな岐路に立たされていることは、まぎれもない事実と受け止めなければなりません。

補足として、日本の人口は、2008年がピークで1億2,809万人でした。
本年11月には、1億2,485万人となり14年で324万人減少しています。
30年後の2053年には、推計で1億人を割り込み、40年後の2065年には、9,000万人を下回ると想定され、人口が今より3割減少します。
今から50年前の出生数は、1973年に200万人を超えていましたが、昨年は半分以下の約81万人となっています。
婚姻件数は、1972年の110万組をピークに、昨年は半分以下の約50万組となり人口が増える要素が見当たりません。
超・少子高齢化が急速に進展している実態は、あらゆる産業に影響を及ぼします。
私たち郵政職域を見れば、人口減少に加え、デジタル化・IT化の進展によって紙ベースの郵便(請求書・保険証等)送達も減少の一途を辿っていますし、金融・保険業も同様に窓口への来店・来局者数が減少するなど需要及び収益の減少に歯止めがかからず、何も手を打たなければ減収減益の傾向が継続することになります。

組合員皆さんの生活を守ることを第一義に考えれば、郵政事業を斜陽産業にするわけにはまいりません。また、先に記述した経営状況も無視できず、今後の事業運営や私たちへの成果の分配はどのようなことが想定されるのか等について、しっかり分析をしながら対応していかなければならないと思いますし、その責務があると考えています。
事業運営を経営陣に任せるだけでなく、組合員の皆さんの未来、そして郵政事業の持続性を確保する視点で「JP労組が考える事業ビジョン(案)」や「JP労組未来創造プラン」が提起されており、前述のホームページに記載されていますので、是非とも、ご一読いただき、皆さんのご意見を支部役員へお寄せください。

これから寒さも本番となります。体調管理に気を付けながら最繁忙期を無事に乗り切り、新年を迎えましょう。

明年が組合員の皆さま、退職者の会会員の皆さまにとって良い年になりますよう、心から祈念申し上げます。

 

2022  年  12  月
日本郵政グループ労働組合
近  畿  地  方  本 部
執行委員長  尾﨑 正一

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